上昇気流

細々とひとりごとを呟き続けています。

理想と現実

人生とは理想通りにならないのは常で、それを、それでも自分を信じて迷わずに進み続けるとか(ゆず『栄光への架橋』)、それぞれ違うんだからいいじゃんって比較することをやめて受け入れるとか(槇原敬之世界に一つだけの花』)、まあ仕方ないかって諦めながらもどこかでやるせなさを感じたまま清濁飲み込んで生きていくとか(スガシカオ夜空ノムコウ』)、人それぞれのやり方で懸命に対処しながら生きているのだと思っています。

そんな中で、そんなこと忘れて踊っちゃえばいいじゃんと言ったのは井上陽水で(『夢の中へ』)、どこか第三者的なところにいながら醒めた目で抽象的に現実を炙り出す彼の歌がとても好きなのですが、そんな井上陽水の世界に非母語話者の立場から挑んだのがこの本。

井上陽水英訳詞集

井上陽水英訳詞集

時制とか人称とか、つくりの違う他の言語を通して鮮明になるものは確かにあって、読み進めるごとに、自分が今まで自覚していなかった記憶や感情を想起させるスイッチのようなものに気づかされているように思います。今の自分がいる立ち位置を客観的に見るツールは色々あるけれど、他の言語だとか、他の文化だとかを持つ部外者の目って大きいのかもな、と改めて思いました。

人知れず理想だけは高いのだろうと理解しつつはあるけれど(それと現実がどうなっているかは別)、果たして、思い通りにならない現実にこの先もどう折り合いをつけながら生きていくことやら。これからも、様々なものの見方を身につけたいと思います(取って付けたまとめ)。