上昇気流

細々とひとりごとを呟き続けています。

ハラスメント

ハラスメント(Harassment)について最近ちょっと考える機会があった。と言っても、別に私自身が被害者、加害者になったとか、最近身の回りでそういう騒ぎがあったわけではなくて。ただ、何かの拍子に、仮定の話をいくつか進めてみただけのことだけれど。

アルハラパワハラ、セクハラ、アカハラ…世の中にはいっぱいハラスメントと呼ばれるものがある。最近だとソーハラ、なんていうのもある。これらは結局「人間関係における齟齬」ということで片付けられるのだろうけれど、どれだけ相手の立場に立って物事を考えられるのか、ということに尽きるのでしょう。よく、「いじめは相手がいじめだと捉えた時点でいじめになる」っていうけれど、ハラスメントもそれと同じ類のことだと思う。

ただの人間関係のこじれをハラスメントというものにするのは、「立場的なもの」である。職場で発生すればパワハラ。大学で発生すればアカハラ。酒の場で発生すればアルハラ。強要できる立場(=上位)の者が、強要される立場(=下位)の者に対して、不可避なことをいいことにして強制的に押し付けるのがハラスメントになる。同じことを誰がやるかによって、もちろん受け取られ方も変わる。対等なものが同じことをやったところで、ハラスメントにはならない。だから、自分の立場がどういう立場で、自分がどういう行為をするとどういう風に受け取られるのか、というのをしっかりと認識しておく必要があると思う。自分の持っている「ステータス」って、思った以上に相手に余計な印象を与えるものだから。人って人間関係を築く上で、実はステータスに応じてふるまい方を決めていることが多い。課長だから○○をする、先輩だから○○をする、親だから○○をする、学生だから○○をする。そして、行為者はそういうつもりでなくても、行為をされる方が、そういうステータスを当てはめて見ていることが実際には多いので、結局はそこにそぐう、そこから外れないふるまい方をしなければならない。いちいち全ての行為において「今これから私は課長ではない一個人としての発言を行いますけど」って前置きをするわけじゃないから。

もし何か際どい事象が発生した際にも、ぶつかり合って双方理解されればそれでよい。そのために円滑なコミュニケーションは必要だ。「部長、それってセクハラですよ(笑)」「そうかそうか、申し訳ない(笑)」って冗談で(本当に)笑いあえる関係が築けているのならいいけれど、これが笑いごとでなくなった場合、本物のハラスメントになってしまう。それを言いづらくするのが、前述の「立場」なのだと思う。結局立場があるから、それを壊さないように、と思ってしまって、相手に伝えることが出来なくなってしまう。あるいは、逆にその立場を悪用するケースもあるのだろうけれど(むしろこっちのほうが多いのか)。最近は主張することが苦手な若者が増えているのも1つの要因だと個人的には思うけれど。昔は反発してなにくそって思う人もたくさんいて、ぶつかりあったりしていたのもあるのだろうけれど、今は言えずにため込んである日突然爆発する、というケースもあるのかもしれない。そもそも不快であることを相手に伝えないで裏でぐちぐち言うだけだったり。相手が何も言わないから、OKと思っていてだんだんと幅を拡大しているうちに、気付いたら閾値を超えてしまっていた、というのが一番怖い。最近過敏になっている風潮がある、という意見も理解は出来る。これまでの社会ではある程度「普通」「それくらいは当たり前」として行われてきたことでさえも、「ハラスメント」という概念が広く認識されてきたことによって、あれもこれもそこに含まれてしまう、という部分も、もちろんあるのだろう。その範囲は人によって異なって然るべきものだから、過敏に反応したり、逆に過剰に鈍感になるっていう個体差が生まれるのも当然のことだ。けれども、結局そこに線を引くのは「社会の常識」であり、特異点なケースは除くとしても、平均するとやはり近年その閾値が上がっているのだと思う。ということは、昔はどうこう、という話をしてもダメで、結局はその現在の閾値に合わせるしかないのだと思う。社会は常に変わっているのだから。

だから結局は、世の中の「常識」に対して常にアップデートの作業を続けることと、自分が「客観的に見て」相応の振る舞いが出来ているかどうかのチェック作業を続けることが、この社会で生きていくためには必要な作業なのだと思う。それが出来ている人には、これは無縁の話なんだろうな。なんでハラスメントについて考えたかっていうと、結局、ハラスメントとして大事にならないレベルのことでも、職場での些細な人間関係ってこれに類似する結構めんどくさいことが多く発生していると思う。直属の上司とかいう関係じゃなしに、例えば1つ年上の違う部署の先輩とか、そういう関係でもあっていい。その予備軍にならないためにも、この辺に気を配りたいものだなぁ、と思って。果たしてホントに出来ているのかしらね。出来てないからこういうこと書いてる気もしなくもないんだけどね…。