上昇気流

細々とひとりごとを呟き続けています。

夜景

結婚式出席のため、明日の年休を取って仕事上がりに新幹線で帰省中。金曜夜の新幹線は混んでいる。

東京が近づくにつれ、街の灯が明るくなってくる。明かりがなければ、夜景も何もあったものではない。その小さな一つ一つの明かりに懸命に生きる人の営みをぼんやりと想いながら、夜景を眺める。東京圏は、やはり巨大都市だ。

夜景といえば、先日一昼夜風雪が吹き荒れた日、深夜一瞬訪れた静寂の中見た景色は、おそらくはずっと忘れることが出来ない。午前1時、一日の混乱を引きずり、おおよそ人も寝静まった中の仕事。周りを埋め尽くすように積もった一面の銀世界。白い雪を静かに浮き上がらせる街灯の光。雪に吸い取られ、音のないしんとした世界。あの日は3時間くらいしか寝られなかったし確かに1日辛かったけれど、そんな辛さも一瞬で吹き飛ばすような鳥肌ものの景色だった。そして、この世で今この瞬間この景色を見ることが出来るのは自分しかいない、という優越感。すぐまた吹雪が始まったため、ほんの一瞬だけしか見られなかったけれど、仕事が深夜まで及んだ辛さみたいなものはあの一瞬で完全に帳消しにされた。

物事の辛い面、不遇な面ばかり見て文句ばかり言っていても仕方がない。その中に紛れているどれだけの僥幸に出会えるかは、個々の感性に懸かっている。立ち並んだ何の変哲もないビルの明かりにも、相応の感性があれば感慨が籠るもの。意識の持ちようで、こんなにも世界は違って見える。そんなところに敏感に生きたい。