上昇気流

細々とひとりごとを呟き続けています。

美容院

今日行った美容室のスタッフさんとの会話が面白かった。

自分の使いやすさに合わせたオーダーハサミの話、というのが凄く面白くて。新潟には三条という刃物で有名な街があるけれど、そこでオーダーメイドの鋏を作っているそうだ。考えてみれば当然の話でもあるよね。美容師さんが仕事をする武器は、鋏なんだもの。そこにこだわるのは当然のことだ。短くて、肉厚で丸みを帯びた鋏を見せてもらったけれど、乾いた髪しか切ることが出来ないうえに、まっすぐ切ることは出来ないんだそうだ。でも、そうやって何種類かの鋏を使い分けることで、イメージ通りの髪型が作れるんだそうだ。自分で使い方をイメージして、それを先方にオーダーして作ってもらう過程とか、きっと凄く楽しいんだろうな、と思って。実際、作ってもらった夜とか、鋏眺めながら一服しました、とか言ってたし(笑)。

あとは、髪を軽くするのに、すきバサミは使わない、とか。もしかしたら業界ではある話なのかもしれないけれど、俺の中で髪を軽くする=すきバサミだったから、なんか結構新鮮だった。すきバサミで軽くすると、確かに髪の量は減るけれど、長い髪と短い髪が混在する形になるから、ちょっと伸びてきたときに、短くなった毛が立っちゃって逆にボリューム出てしまうらしい。ちょっと手間はかかるし、時間もかかるけれど、切り分けたほうがスタイルが長持ちするんだそうだ。それって結局、次回の来店までのサイクルが長くなる=お店にとっては利益ではない、けれど、そうやって技術をお客さまに提供することを目的とする、っていうか、技術で勝負しているお店ってとても有難いのだと思う。良心的な価格だったしね。

今は薄利多売的な分業制の美容院とかも結構あったりするけれど(しかも安い)、そういうのに押されてこういうこだわりを持っている美容院が不利益を被るのはとても悲しいし、もったいないことだと思う。製造業もそうだけれど、価格が安くなるのは確かにいいことかもしれないけれど、一方でそれに押されて高い技術力を持ったものが衰退していく、ということが裏返しとして存在するのは事実である。これはずっと言われてきたことかもしれないけれど、製造業だけじゃなくて、様々な業界に根を張る問題なんだろうな、と思った。小売業とかそういうところも、大規模スーパーに押されているしね。アパレルもそうなのかもしれない。それはそれでいいところはあるし、どっちがいいのかはわからない。結局今そういう世の中になってきているということは、結局それが世の中一般が支持することなのだろうけれど。

個人的な話で言えば、大学の時4年間お世話になってた美容院のあと、就職してからはしばらく髪を切るところが定まってなかったのだけれど、やっぱり少人数のサロンで、毎回決まった人に切ってもらって、というのがどうも落ち着くみたいだ。あと、住んでるところから近いっていうのも結構重要なポイントかも(笑)。髪切るためにイチイチ出かけたくないんだよなぁ…。そろそろ落ち着いたところ決めようかと思っていて、近くでそういうところが見つかったので、良かったのかもしれない。

その道のプロの言葉って凄く面白い。まだまだ私が知らないことは、世の中にはたくさんあります。