二度目の冬
今、ふと、窓を開けて、外を見た。静かな、暗い、冷たい夜が広がっているのを、ぼんやりと眺めていた。
寮の部屋から見えるのは、いつもの社宅と、いつもの跨線橋と、いつもの消費者金融の看板。頬を掴む冷たい空気と、水を切り裂くタイヤの音。白い息。
最近、ずっと部屋のカーテンを閉め切っていた。どうせカーテンを開けても、外に広がるのはどんよりと曇った空と、冷たく降りしきる雨ばかり。
こっちに来て1年半。2度目の冬。状況は、特になんも変わってない。来た時と。出来ることも、特に増えちゃいない。歳だけ、2つ重ねた。
しばらくぼけっと、目の前の風景を眺めていた。そういえば、最初に寮に入った日、外は強い風が吹いていたんだっけ。日本海側の風は、容赦なく吹き付ける。
明日から、雪が降るらしい。この街にも、雪の季節が訪れる。