眠れぬ夜は
昼間少し寝たせいで、寝付かれない。明日4時に起きる兄のために、電気はもう消えている。眠れぬ夜は、あてどもない無駄な考えが、頭を巡る。
定まらぬ危うさの中にこそ、魅力は煌めくのか。安定は本人のためなれど、一方で、茫洋とした愚鈍さにつながりはしないのか。安定を得ることの裏には、果たしてそのようなトレードオフが、隠されていはしまいか。
何かを得る一方で、失ってしまうものもある。失ってしまってからそれに気付いても、遅すぎる。気付いていない何かに気付くこと。それはとても難しいことだ。しかし、推測の手を緩めることがなければ、真理に近づくことは出来るはずだ。
知足は必要だ。しかし、それによって向上心を失ってしまっては、人間の成長はそこで止まる。現状に満足していれば、確かに安定は得られるかもしれないが、未だ見ぬ高みへの可能性は失われてしまう。貪欲さも、ある程度は必要だ。
満足した豚は確かに幸せかもしれない。しかし、満足した豚には見えない世界への到達の可能性が、不満足な人間には残されている。どちらを取るのが正しいのか。正答はそこにはない。しかし、満足した豚と不満足な人間、どちらが魅力的に映るだろうか。その答えは、自明なように思える。
今一度、自分の立ち位置を確かめてみる必要があるかもしれない。目先の安定に惑わされて、本来目指すべき立ち位置を見失っていやしないだろうか?
さて、そろそろ眠りに就けるだろうか。世迷い言はこの辺にしておけ。