上昇気流

細々とひとりごとを呟き続けています。

ライオンの皮をかぶった猫

猫がライオンの皮をかぶってライオンのふりをしても、所詮猫は猫なのです。

その辺を歩いている限りでは、猫はライオンの気分でいられるかもしれない。しかし、いくらライオンの皮をかぶっていきがっていたところで、猫は猫なのです。結局のところ。

そんな猫が、ライオンに出くわしたとき、彼はどうするのでしょうか。ライオンと比べたら歯が立たないのは火を見るより明らか。けれど、彼がこれまでライオンとして振る舞い、身につけてきたプライドはどうなってしまうのか。今更もう猫には戻れない。ライオンの皮をかぶったまま、本物のライオンと出くわさないように気をつけながら、作り上げてしまったちっぽけなプライドを壊されないように、うまく逃げながら一生を過ごすしかないのでしょうか。

ライオンになりたかった猫の気持ちもわかる。自分にはなっていないものを持っている者に憧れるのは当然のことだと思います。けれど、いくら見た目をライオンっぽくして、振る舞いもライオンっぽくしてみたところで、ライオンに近づくことは出来るかもしれないけれど、結局ライオンになることは出来ない。ライオンになることができるのではないか、という夢は、夢でしかなかったのです。少しばかり手に入れられた気がして、ちょっとその気になって調子に乗ってみたけれど、実際に本物にあったときに、目の前に突きつけられた現実は、根底の部分に横たわる、埋めることの出来ない圧倒的な差。

猫は猫なりの良いところを見つけて、そこで勝負して生きていけば良かったのでしょうか。下手にライオンの強さを味わってしまったがために、今更引き返しのつかないところに追い込まれてしまった猫。自分は強さを手に入れられたと思っていたけれど、本当にその強さを持っている人と並んでみると、全然そんなことはなかった猫。所詮はフェイクでしかなかった。彼は果たして、今後どうすれば良いのでしょうか。

すいません、イソップっぽいけど、自分の作り話です。イソップの「ライオンの皮をかぶったロバ」とか、戦国策の「トラの威を借る狐」とかは似たような話だけれど、若干話のニュアンスが違うなと思って。

我々の生活にもそういうところって多分にあると思うのだよなー。普段気がつかないふりをしているけれど、根っこの部分に存在している自分の甘さ、小っささ。くそー。悔しい。

あ、こんなこと言いましたけど、別に選考落ちたとかそういう話ではないですから安心してください(笑)。人間として、ね。